曲目解説

Arvo Pärt

1935年生

Cantus in memoriam Benjamin Britten

Arvo Pärt
作曲
1977
初演
1977年4月7日・タリン・エストニア国立交響楽団・エリ・クラス
編成・版
弦楽オーケストラと鐘

鐘が鳴り、下降する弦の線が異なる速さで重なります。少ない素材が、次第に深い空間をつくります。同じことの反復に見えても、音楽は戻れない方向へ進んでいます。

1977年、前年に亡くなったベンジャミン・ブリテンを追悼して作曲されました。長年の友人への別れではなく、音楽への敬意と、ついに会えなかったことへの思いに由来します。

下降音階とイ短三和音の音が結びつき、弦の各層は比例した異なる速度で進みます。カノンの遅い声部が速い線の下に深さを与え、鐘は相対的に独立した目印となります。

声部が加わるにつれて、密度と強度が増します。対照的な主題を導入しなくても、過程そのものが方向をつくります。一つの線を追うことも、全体の響きを聴くこともできます。

弦が終点に達した後も、余韻は残ります。最後の沈黙は作品の外にある雰囲気ではなく、その時間の一部です。奏者が動きを止めても、聴取は続いています。

Novaの2025年9月《Between the Worlds》では、本作にシュトラウス《死と変容》とプロコフィエフの第3交響曲が続きました。異なる構造を並べることで、追悼や変化へのそれぞれの向き合い方が際立ちます。

鐘が変える和声の響き

鐘の基音はイ音を中心とする世界に属しますが、その倍音は単一の弦の音より複雑です。弦が止まった後も自然な共鳴が空間に残り、楽譜上の終止を越える余韻をつくります。

重なりながら下降するカノン

同じ速さで追いかける輪唱とは違い、関連する下降線が異なる速さで伸びます。活発な上声と遅い低音を交互に聴くと、同じ過程から異なる時間感覚が生まれます。

Novaの歴史の中で

記憶に残る夜。

作曲家について

Arvo Pärt

アルヴォ・ペルトは、音階、三和音、鐘、遅い旋律といった簡潔な素材から、集中した音楽世界を築きます。音の間隔、長さ、余韻の小さな変化が、大きな表情を持ちます。

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